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大分県宇佐市にUターンした元公務員の男性(72)が、集落の住民から「村八分」の扱いを受けたとして元区長3人と宇佐市を相手取って慰謝料など330万円を求めた訴訟で、大分地裁中津支部(志賀勝裁判長)は25日、元区長らの行為を「『村八分』として共同不法行為を構成する」と認め、3人に計143万円の賠償を命じる判決を言い渡した。
訴状などによると、男性は兵庫県から母親の世話や農業をするため、14戸が暮らす宇佐市内の集落にUターンしたが、母親の死後、農地への補助金を巡って集落の住民らとトラブルになった。住民らは2013年4月、男性が住民票を移していないことを理由に自治会から除外し、断交することを全員一致で決議。その後、市の広報誌の配布や行事の連絡がなくなったという。
男性は、こうした行為を「いわゆる村八分だ」と批判。「集団による差別的扱いを受け、地域で平穏に暮らす権利を奪われた」として18年に提訴した。
判決は、自治会への加入の条件に「住民票の有無は問われていない」としたうえで、「(断交決議が)男性の言い分を聞くことなく一方的に行われた」と指摘。元区長らの行為を「原告の平穏に生活する人格権や人格的利益を7年以上にわたって継続的に侵害するもので、社会通念上許される範囲を超えた『村八分』」だと認定した。
一方、宇佐市については、「区長は市の指揮監督を受けていない」として、使用者責任があると訴えた男性の主張を退けた。
宇佐市の是永修治市長は「市の主張が認められた判決と考えている。今後とも当事者間の諸問題が円満に解決できるよう努める」とコメントした。
last-modified: 2021-05-30 19:04:16