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そういった意味では、政府の主張する「感染者数が増えても、死者数や重症者数が減ればいい」という考え方は根本的に間違っています。ワクチン一本足打法が失敗する契機を自らつくり出している様は、一国民として残念でなりません。
また、先の7月16日の記事では、オリンピックが開催されればペルー発祥のラムダ株が日本に上陸するのは時間の問題だと申し上げました。ラムダ株はワクチン効果が著しく落ち、致死率が高いといわれています。デルタ株より恐ろしいラムダ株が広がったら、政府はロックダウン以外に効果的な対策を見出すことができなくなるかもしれません。
実際に、厚労省は8月6日に「ペルーに滞在歴がある女性が7月20日に羽田空港に到着した際の検査で、ラムダ株の陽性者だったことが判明した」と公表しています。ただ、アメリカのメディアがこの事実を追及しなければ、厚労省は隠ぺいするつもりだったのでしょう。
なぜなら、オリンピックの開催期間中にラムダ株の陽性者が出たなどと報道されたら、安全・安心を約束したオリンピックに傷がついてしまうからです。オリンピック終了後に厚労省が渋々公表したというのは、そういうことなのです(後のメディアの取材で8月13日に、この女性はオリンピック関係者であることがわかっています)。
こういった情報が隠ぺいされるのは、国民の安心・安全を脅かす行為です。
その女性と同じ飛行機に乗っていた人たちの中には濃厚接触者がいるかもしれません。その人たちのうち1人でもその後に感染したら、国内にラムダ株が入り込んだということになります。
ラムダ株、ベータ株、ガンマ株…
オリンピックの水際対策が失敗して、国内にラムダ株が入ってきたら厄介です。アルファ株からデルタ型へ置き換わりが進んだ後に、すなわち、数か月後にラムダ株が蔓延するリスクがあるということは、決して無視できない状況です。
無論、国内に侵入した懸念があるのは、ラムダ株だけではありません。南アフリカ発祥のベータ株やブラジル発祥のガンマ株が侵入した可能性も排除できません。あるいは、発祥の異なる株が国内で混じり合って、新しい変異株(=オリンピック株)が生まれているかもしれません。
私が知るかぎり知名度のある企業の経営者の中で、楽観的な見通しのもと経営を行っている人など、誰一人としていません。まともなトップであるならば、ワクチン一本足打法など選択しないでしょうし、ワクチン接種が通用しなかったらどうするのか、その次の一手を考えているはずです。
ところが呆れることに、我が国のトップである菅首相のあたまの中には「想定どおりにならなかったら、次はどうしたらいいのか」といった考えが微塵もないようなのです。これでは、国民の安心・安全は脅かされたまま、事態はいっそう悪化していくだけです。
そもそもワクチン一本足打法には出口戦略がありません。それは、ワクチン接種は毎年しなければならないからです。
つづく
菅政権の大罪
果たして、毎年ワクチンを2~3度接種する国民が何割程度いるというのでしょうか。
現行のワクチンが効かない変異株が出現するたびに、新しいワクチンを接種するよう勧められても、多くの国民がそれに従うとは思えません。
それも来年度からは自費でお願いしたいといわれたら、若い世代で接種する人はほとんどいないのではないでしょうか。
このように考えると、ワクチンによる集団免疫の形成は極めて困難であり、新型コロナとの戦いは予想以上に長引くと覚悟しなければなりません。
こうなったのは、多くの識者から度々指摘されてきた、政府の水際対策の甘さが原因です。この水際対策の失敗によって、失われないはずの命が数多く失われたという事実を、政府には真摯に反省してほしいです。そのうえで、これまでのデータを精緻に分析して、国民に対して真に正しい生活様式を示してほしいところです。 last-modified: 2021-08-24 11:29:16