【近親相姦】伊勢崎市同居女性餓死事件【特殊学級】
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2001年11月12日夕刻、群馬県伊勢崎市消防署に119番通報があった。
「女房が死んでるみたいなんだが、来てくれないか」
 受話器の向こうの声は落ち着きはらっていた。救急隊員が現場である金井家に駆けつけてみると、問題の遺体は仰向けに寝かされ、毛布がかけられている。
 隊員が毛布をはぐと、通報者が「妻」と言ったその遺体は異様なほど痩せこけていた。のちに司法解剖により、彼女は158センチの背丈に対して26キロの体重しかなかったことがわかる。
おまけに死因は餓死であった。彼女は長期にわたって家族に食事を与えられず、じわじわと死んだのである。
 「未必の故意」による殺人容疑で逮捕されたのは、被害者の内縁の夫、金井幸夫(37歳)と、その両親と姉の4人。
彼らは被害者が死ぬであろうことを知りながら、何の手だてを講じることもなく放置したのだった。

 金井幸夫は1964年に生まれた。きょうだいは年子の姉と2歳下の妹がいる。親子5人は市営住宅に住まいをかまえており、
入居当時はごく平凡な家族のようであったという。
 だが金井の両親にはこれといった定職はなかった。
難聴気味の父親は工員や左官などをしていたが、どこも長続きしない上に競輪好きで家に入れる金はほとんどない。
母親も工場にパートで出ていたが、すぐ辞めてしまっている。この母親の幸夫に対する躾は一貫しないもので、
「長男だから」とべたべたに甘やかす反面、近所にも幸夫の泣き声が響きわたるほどの虐待もはたらいていたらしい。
 甘やかされながら突き放される、という不安定な躾を受けた幸夫は、内気で人見知りのする子供に育った。
しかし自分より弱い者を探すのには聡く、小さい子をいじめながらこき使うような真似もしていたという。
 そんな彼は「普通学級で勉強についていくには難あり。家庭環境も恵まれず勉強できる環境にない」という学校側の判断で、特殊学級に配置される。
そこでクラスメイトとして出会ったのが、本事件の被害者である長谷川三根子であった。
 幸夫も三根子も勉強についていけないという程度で、外見的にはさして普通学級の生徒と変わらなかった。
それが彼らをクラスの中で結びつけたのかどうかはわからないが、幸夫は卒業後もときおり三根子に連絡をとっていた。

 しかし幸夫は学校に真面目に通っていたわけではなく、不登校気味であった。それは年々ひどくなり、母や姉に暴力をふるうようにもなっていく。
幸夫の怒声と女たちの悲鳴はたびたび町内の空気を震わせた。
 ことに幸夫が思春期にさしかかるにつれ、姉に対する暴力は身体的なものばかりではなく性的なものへ移行していったらしい。
姉が「やだよ」「死んじゃう」「痛いよ」と泣き叫ぶ悲痛な声を、当時近隣の何人もが聞いている。
 その泣き声は最初、幸夫と姉がふたりきりで家にいるときにだけ聞こえた。だがそのうちに幸夫の友人数人が家に上がりこんでいるときも聞こえるようになった。
通りに面した窓からは仰向けに倒された姉と、そのまわりに下半身裸の少年たちが居並ぶさまが丸見えだったという。それが終わるまで家には鍵がかけられているのだが、
家の中で娘が息子とその友達に犯されていることを知りながら、両親は庭でつくねんと待っているのだった。
 幸夫は周囲の人間から金を借りまくり、「返せないから姉ちゃんの体で払う」と言っては誰彼かまわず家に引き込んでいた。両親は体格で勝る幸夫をもう抑えることができず、
暴力で支配されるがままであった。
 ついに姉は精神をわずらい、精神病院へ入院。以後、これで手に入れた姉の障害者手帳が一家の大きな収入源となる。
last-modified: 2021-08-26 07:01:51