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5/10(月) 13:01配信
◆心療内科に行ってみた
治療して治れば問題はないのだが……いろんな病院で調べたものの、原因はわからずじまいである。となると、心因的なものから来ているのかもしれない。あまり考えたくはなかったが、そうかもしれない。
わたしは、会社に相談し、会社が勧めてくれた都内の心療内科に行ってみた。
そこはビルの2階にあった。清潔感のある病院で、長いソファが置いてあり、そこには10人近くの人が座っていた。わたしは顔が見られないようにマスクをし、帽子を目深に被って受付をし、1番奥に座った。誰も人のことなんて気になどしていなかったから、隠れようとしているわたしが自意識過剰に感じて、「はあ、いつまで芸能人だからどうだって思っているんだ自分は」と思った。そこに座っている人たちを観察していたのはわたしのほうだった。静かな待合室だったが、今まで知っているいろんな病院の待合室と特段変わらなかった。至って、普通、だった。
待ち時間が長いからなのか「あ、これ読みたかった」という雑誌が充実していて、「温泉宿特集」が掲載されている1冊を手に取って眺めていた。
30分ほど経ったころ、柔らかい声で名前を呼ばれ、「こちらです」と、部屋にと通された。
40代後半くらいだろうか。柔和な雰囲気の男の先生が座っていた。黒いニットタートルに、プリーツの入ったチェックのパンツに、茶色い革靴を履いていて、まさに紳士そのものだった。白衣はきていないのだな、と思った。
◆眠れないんです。寝なきゃ寝なきゃと思うんですが
「こんにちは」
「こんにちは〜」
「お待たせしましたね、どうなさいました?」
先生はゆっくりと、聞いた。わたしは感覚的に、この人を信用しようと思った。
「えっと、ですね」
「はい」
「ここ最近、倒れるようになりまして。実際に倒れたのは数回なんですが」
「どんな時に、そうなります?」
「多いのは、仕事の時、です。あとは、ロケバスに乗ったりして、降りられないと思ったり、迷惑がかかると思うと」
「はい」
「心配になって、バクバクしてくる、んですね」
「いつ頃からですか?」
「えー、とですね、離婚を半年ほど前にしたんですが、その頃一度倒れましたね。でも、その頃は、あまり食べられなかったので、だからかな、と」
「今は食べられていますか?」
「そうですね。はい。ただ」
「ただ? はい」
「明日のことが心配になったりすると、食欲は出なくて、でも食べないと体力がなくなるので、ムリに食べなくては、と思うのですが」
「食べられなかったりもする」
「はい」
「眠れていますか?」
「眠れないんです、寝ないと体力が元に戻らないとわかっているので、寝なきゃ寝なきゃと思うんですが。明日が心配になればなるほど眠れないんですね」
「そうですか」
「病院で、調べられるものは調べましたけど、特に、原因がわからなくて」
「そうでしたか」
「先生、どう、なんでしょうか」 last-modified: 2021-05-13 00:23:40